FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

今を

友人であり、共に音楽活動を行ってくれる(ていうかほぼ引っ張ってくれる)同志でもあるなんとか君の助けもあって、どんびき作中の「平くんの曲」をなんとか実現させる事ができた。
それっぽいPVも作ってみたりして、なんともご満悦な俺である。

今を(平君の作った曲)

この曲のメロディーは俺が大学時代に作ったものをそのまま流用していたりする。
賃貸住まい妻子持ちの身だと、音を鳴らす曲作りという作業は現実的に困難なものであり、苦肉の策ではあった。
しかし詞を書き換え、歌ってみると、意外としっくりくるもんだから不思議なものである。
自分のリアルどんびき時代に、「失恋をテーマに曲を作ってみよう」というコンセプトのもと皆で曲をもちよった事があったのだが、その時に自分の作った曲が原型になっている。
失恋と、平君の抱える悩み。
共通点は一見無いようにも見えるが「終わってしまった幸せな日々を思い出し、それでも前に進もうとする気持ち」は同じなんじゃないかなーなんて観点から色々考えを深めていくと、思いのほか雰囲気が重なり合ってくれた。そこに作中の平君が経験した出来事、思い出なんかを散りばめて見ると、何とか一つの曲として生まれ変わってくれた。

これは今の自分の曲じゃない。
平君だった大学時代の自分のメロディーに、平君に立ち戻った現在の自分が詞をつけた、過去と未来の平君の曲である。
今の自分のままに曲を作ろうとすると、きっと「やってらんねーぜくそが」みたいな曲になりそうだから、これが最善の策だったんだろうな、などと完成した今なら思えるのだった。

話は変わるが、なんとか君と始めた音楽活動名「ダケスタリスク」も、主になんとか君の働きによって、毎回何かしらの結果を得ながら着実に前に進んでいる状態だなと感じる。
何かした大きな目標が欲しいところではあるが、それもおいおい見つけていきべきなのだろう。
俺となんとか君の違いを、なんとか君は「緑と青」という色の違いで言っていたが、その雰囲気は何となくわかる。
その感覚を思考の癖として言い表すと、「自分に降りかかる事象を溜め込んで矢鱈に葉を広げる緑の木」と「降りかかる事象を飲み込んで沈静化させ自分の一部とする湖」というか、なんかそんなイメージ。

俺は秩序無く言葉っていう葉っぱを生い茂らせる事しかできないのである。
辛いことを辛いと、悲し事を悲しいと、ちょっとだけある楽しいことは楽しいと、色んな形の葉っぱを広げてただただ表現したいだけなのである。
完全に自己満足。
でも、それがいいのかもしんない。

お互い共通点もあるが相違点も多いのだから、おそらく今後も新たな発見が生まれるのだろう。
それが楽しみではあるが、焦っても仕方がないので、今はできる時間の中でやれる事をやっていくしか無い。

インフルエンザで休暇を余儀なくされた俺は、布団の中でそんな事を考えているのだった。
休み明けに仕事がどれだけ山積しているか‥そう考えるとひたすらに恐い。

【茨城県】ひたちなか海浜公園~水戸~大洗水族館 その2

◯水戸のビジホ、大洗水族館、そしてめーんたいこー♪

水戸市はそこから車で30分程度の距離だった。
県庁所在地という事でけっこう都会的な建物が立ち並ぶ。ただ何処と無くこざっぱりしてるというか、スッキリしているというか、自分的にはなんとも居心地のいい都会具合だった。

ビジホは偕楽園のそばに、痩せた杉の木みたいにひっそりと立っていた。フロントに入るとウェルカムドリンクよろしく、ビールやお茶をどーぞどーぞと勧められラッキー。なんか得した気分で部屋へと向かう。
このホテルは完全なビジネス向け(しかも低予算で済ませたい人向け)であり建物もどこか古臭い雰囲気。部屋は家族3人寝泊まりするには十分に広かったが、風呂やトイレは別。
しかしそれは覚悟の上! 低予算で抑えるというのは、利便性を手放す事なのだ! しかもこの私、仕事でここ以上にクセが強いホテルにも宿泊した事もある訳で‥むしろ楽しくすらある!
ワクワクの俺とは相反し、嫁は『なんか不便なとこだなー』との思いを抱いていた事だろう。

荷物を整理し、夕食を求めて水戸市内を流離う。
徒歩にて市街地を散策するという行為に懐かしさを覚えつつ、目に入る看板の文句にツッコミを入れては嫁に白い目で見られながら、俺たちは夕食を求めて水戸の街を彷徨った。
俺自身はラーメン屋だろうが焼肉屋だろうが古びた定食屋だろうが、どんな飯屋でもドンと来い! なのだが、嫁の女子的感性や息子の好みなんかも加味するといい感じの妥協点が見当たらない。このままでは夕食難民となるのでは!? との懸念が皆の脳裏を過ぎったその時、ま開店直後の郷土料理居酒屋みたいな店を発見した。
酔っ払いの大騒ぎに不快感を示す息子だが、このタイミングならまだ客の入りも疎ら。更には店員さんが気を利かせて、少し離れた個室に案内してくれるというファインプレーを見せてくれた。
『うん、この店は正解だった』俺は心の中で井之頭五郎のように呟いた。
料理も地域性を感じられるものが多く、楽しい夕食の時間を過ごす事ができた。

ホテルに戻り、風呂に入ると、後は特にすることもない。
旅の疲れを癒すため早々と電気を消して、水戸の短い夜に幕を引いた。

翌朝、いつもの様に早起きしてホテル付近コンビニまで散歩。ホテル内の喫茶店なのかバーなのかよくわからない空間で、カレーとゆで卵と菓子パンという混沌とした朝食を食ったあと、早々と俺たちはホテルを出た。
目的地は大洗水族館、この時期は混雑必至の観光スポットだ。駐車場に車を止めるためには早々の移動が必要と判断した結果である。
結論から言うと、水族館の駐車場に車を止めることはできた。
しかしあまり水族館内の記憶がないのは、息子が薄暗い水族館を怖がって、30分も経たないうちに「もう車戻る!」とごね出したからだ。こうなってしまっては最早どうしようもない。
なんとか撮ることのできたマンボウの写真を何枚か上げる。

IMG_2857.jpg
IMG_2858.jpg
IMG_2864.jpg

マンボウって何でこんなに不気味なのだろうか。
容姿からして意味不明だし、妖怪とか未確認生命体的な未知の恐怖を感じるのは俺だけだろうか。こんなのと夜の海で対面したら失神する自信がある。ああ、マンボウ怖いマンボウ怖い‥

気を取り直して、次の目的地の「かねふく めんたいパーク」へと向かう。
途中でガルパン(ガールズ&パンツァー)の看板を発見し、ここがいわゆる聖地ってやつだと思い出す。実際のアニメは見たことないけど‥ 珍しかったので写真を撮って、オタク趣味がありそうな友人にLINEしといた。

IMG_2877.jpg

めんたいパークも大賑わいだった。
取り敢えず目当ての明太おにぎりと、お土産に明太子マヨネーズを購入する。工場内の製造ライン見学もできるようだが、仕事柄、食品工場の製造ラインは見飽きているため適当に流す。あ、うちの機械がついてるーみたいな事を嫁に報告して知ってる感をアピールした後、昼飯がわりの明太おにぎりを頬張りながら帰路に着いた。

予定していた旅の行程はこれでおしまい。
昼飯が少し足りなかったので、道中の道の駅で浜焼き的な物を購入した。


普段の『温泉』をメインにした旅行とは異なり、こういう観光地巡りに重きを置いた旅行もいいもんだ、と改めて思った。
子供が生まれてからはスケジュール通りに動く事が難しいって理由で、あまり予定は立てず温泉旅館でのんびりする、ってスタイルを取ってきたわけだけど、育児に慣れてきたというか、子供の扱いに慣れてきたというか。とりあえず、旅の楽しみ方の幅が広がったと実感できた茨城旅行だった。
ちなみに息子はかねふくのCMを見るたびに「ぴりっと、かねふく、めーんたいこー♫」と歌いだすようになった。
息子が楽しんでくれたのであれば、なおの事大満足である。

IMG_2854.jpg

雪道を泳ぐ銀色の魚

「セイヨウシミになりたい」と彼女は言った。

古本屋で買った文庫本をぶら下げながら、僕と彼女は日の落ちた薄明かりの雪道を歩く。
踏み出す度に軋みをあげる新雪は、僕らがこれから通りすぎるであろうあの街灯や、その先に広がる田園を抜け、はるか遠くの山並みまで白銀に染めている。
音は、背後の国道を走る車の走行音が時折聴こえるのみだ。
車が一台、また一台通り過ぎる度に、静寂が雪と共に舞い降りてくる。
その静寂の合間を縫うようにして、彼女のその言葉は鏑矢のようにはっきりと僕の鼓膜を射止めた。

「セイヨウシミって?」その質問に対して、足元を確認しながら僕の一歩前を歩いていた彼女は振り返る事なく「本の虫だよ」と答えた。
それは本が好きな人の比喩表現なのだろうか。
質問を繰り返そうと口を開きかけた僕の気配を察したのか、彼女は「古本を食べる銀色の虫のこと」と補足した。
どんな虫なのか、僕はセイヨウシミの事をよく知らない。
ただ彼女の言った『銀色の虫』という表現が、彼女の背景に降り積もる新雪と重なり、空から舞い落ちる雪の妖精のような幻想的な姿を惹起させた。
「この雪が溶ける頃、私達は離ればなれだから」彼女が立ち止まる。その小さな肩に積もった雪は、彼女の儚さを際立たせる「だから、私はこのまま、君の好きな本につく虫になって、ずっとずっと、君のそばにいたい」
春になれば、僕たちは別々の道を歩く事になる。それはオトナであっても大人ではない僕たちにとっては、あがらう事のできない激流であり、ただただその流れに身を任せていた。
舞い落ちる雪が彼女のコートを白く染める。
まるで銀色の鱗を纏うかのように。
「雪の神様、どうか、私を本を泳ぐ銀色の生き物に変えてください」
そう呟きながら僕の前を歩く彼女が、銀色に染まっていく。
それは雪道を泳ぐ銀色の魚のようだった。

そして、そんな彼女の足跡を、降り続ける雪が無慈悲にも消していく。



あの夜から突然、彼女からの連絡が途絶えた。

動揺はあった。しかし、心のどこかでは納得していたのかもしれない。
あの日の夜、銀色の鱗を纏っていく彼女が、1匹の銀色の生き物へと生まれ変わっていく。
そんな光景が、妙なリアリティを持って僕の心に住み着き、僕を幻想と妄想へと誘っていく。

遅かれ早かれ来る事を覚悟していた彼女のいない日常に、僕は次第に慣れつつある。
地元に引っ越した僕は小さな会社の事務員として働きはじめ、楽ではないが充実した生活を送っている。
ふと、寂しさが心を過ぎる事がある。しかし本に囲まれた部屋の真ん中で寝そべっていると、そんな寂しさも少しは和らいだ。

もしかしたら、彼女は今、セイヨウシミとなってこの古本の中を泳いでいるのかもしれない。
そう思うと僕の心は不思議と落ち着くのだ。



「うわっ、なにこのキモい虫!」私のアパートでマンガを物色している親友のマキが大声で叫んだ。
「あ、それセイヨウシミっていうの。古本の糊なんかを食べる虫」
「うへぇ」
「魚みたいに銀色の鱗があるから、英語でシルバーフィッシュって言うんだって」
「銀色の魚ねぇ‥全然そんな風には見えないんだけど。てか、フミカ何でそんなに詳しいのよ」
「元カレからフェードアウトする時に、ちよっとね」
「元カレって‥ああ、新潟に住んでた頃付き合ってたって言う文学青年!」
「そ。言ってなかったっけ? 穏便に別れるにはどうしようかって色々考えて、一芝居うったのよ」
「何それ、詳しく聞かせてよ」
「しょうがないなぁ‥」
マキはいつも私の話を驚いた顔で聞いてくれる。だから私は少し自慢げな顔をしながら、元カレと別れたエピソードを話した。
「へー、なんか幻想的なシチュエーションが功を奏したって感じだね。しかし男ってそういう幻想的なファンタジーに弱いよね」
「彼は夢見がちな文学青年だったしね」
「でも、そんな純粋な人、今時珍しいよ。別れるの惜しかったんじゃない?」
「だって、遠距離恋愛とかマジ無理でしょ。彼も地元で就職決まってたし、私もこっちで就職決まってたから、それを蹴ってどうこうとか考えらんないし」
「たしかに」
頷くマキに「でしょ、でしょ?」と私も頷く。

そんな事を話している間に、セイヨウシミはどこ変え消えていた。
きっと、どっかの古本の中を泳いでいることだろう。


2018年

大晦日に社用車のETCカード紛失騒ぎがあったり(結局所長が持っていた)‥

元日から仕事があったり‥

書類の不備でてんやわんやする初夢をみたり‥

なんだか今年も大変な一年になりそうな予感しかない。

でもまあ、気を引き締めて乗り越えていくしかないのだろう。

去年は趣味に費やせた時間が極端に少なかったわけだけれども、
今年はそっち方面をもう少し充実させていきたいものだ。
このブログに載っている小説も然り、音楽も然り。旅行も、子供達と遊ぶ事も‥

仕事を生活に必要な資金を稼ぐためと割り切るのであれば、
自分の喜びをそこに見出そうとしてしまうのはナンセンスな気がする(俺は、だけど)
あくまでも、喜びや充実感と言った感情は、俺が俺として生きる瞬間の中にしか無いと思う。

自分を自分として表現出来る瞬間。
その価値を自分自身が認めてあげなければいけない。
たった一度の人生なのだかから。

今年は、人生34年目の年。

よろしくお願い致します。

どんびき!~曇天大学軽音楽部弾き語り部門~38

第38話「平くんの曲」


余白を埋めるように 未来を塗りつぶす日々を
名も知らぬ誰かが 街角で歌ってた

押さえた六弦は 指先に細い線を描く
いつの日か その跡は 痛みへと変わるのか

暗い部屋の中でさえ 音は鳴り続ける
時計の音 秋の虫の音 音楽は終わらない

繰り返す毎日に 左手が選び出すコード

震える弦 奏でる現在を 僕は忘れちゃいけない
泣き 笑い 奏でる今を

それは ばからしくて 素晴らしい歌だ


「って感じなんだけど、ど、どうかな‥?」
照れながら上目遣いに私達三人を見る平くん。私ーー金谷ひまりは曲の感想を伝えようと口を開きかけ、少し思い留まった。
この曲からは平くんの気持ちが伝わってくる。ただ、私がその気持ちをちゃんと理解出来ているのか、もう一度考えを巡らせてみようと思った。
多分みんなも同じ気持ちなんだと思う。
見当違いな感想を言って平くんを困らせたくない、そんな思いも少しはある。
でもだからといって、平くんがこの曲に込めた気持ちを、『いい曲』とか『よくできてる』とか、そう言う当たり障りない褒め言葉に置き換えてしまうのは、なんだか違う気がする。
それはきっと、この曲に含まれる気持ちの一つ一つが、私達みんなの感情にも含まれているからだ。
それが何なのかを探し当てるため、私達はただ無言で歌詞の意味を追っていた。
「えっとわかりづらい歌詞でごめんつまり無為に過ごしているこの毎日が一番大事で繰り返す毎日つまりこれを右手のストロークに例えると左手のコード進行で僕らの未来は変わっていけるって言うかそういう今に価値があってそれを忘れちゃいけないて言うか」
「いやいや、その『この話の面白いところはここです』みたいな事後説明は別にいらんて」正方寺くんが苦笑いを浮かべる。
「せっかく感心してんのに、痛々しくなっちゃうじゃん」珠美ちゃんが溜息を吐く。
「俺らはわかってるよ、平が何を言いたいかくらい」正方寺くんが頷き、私と珠美ちゃんもまた頷いた。

そして「よし、やる曲も決まったし、次はどう編曲していくかだな」
結局、正方寺くんのその言葉が、私達の答えだった。
この曲を皆で完成させよう、それが私達の答え。

「平、間奏部分ってどんな感じにする予定?」
「えっと、僕の方でハープを入れる予定なんだけど」
「ああ、ハーモニカ。じゃあ、あたしの方でピアノのパートも入れてみようか」
「ピアノ?」
「ピアノっていうかキーボードな。俺、今清里さんに習ってんだ。さっきも家でピアノ弾かせてもらってて」
「あ、ああー、電話した時に清里さんの家にいたのは、そういう理由でーー」
「そゆこと」
「あたし的には、それ以外の理由があってもいいんだよ、正方寺くん」
「え? ああ、おう‥」
「あれ? なんで無言になるの? なんか恥ずかしくなるよ‥」
「わりぃ‥」
「え、何この空気。正方寺、顔赤くなってるけど、どうした」
「なんでもねーって! ほら、ハモリの部分はどんなふうに考えてんだよ!」
「あー、えっと、それはーー」

動き始めた。
学園祭に向けて、私達の弾き語り部門がーー

私は今一度平くんの部屋を見渡す。本棚から溢れた本と、壁の角に投げ出されたギター雑誌。壁際に畳まれた布団と、中央に据えられた古めかしいこたつ机。
この部屋で平くんはあの曲を作ったんだ。
私はこたつ机に置かれた歌詞の一文見ながら、過去に自分が言った言葉を思い出していた。
『誰かの奏でる音楽が終わっても、波の音はずっと鳴り続けているんだね』
野外ライブの後、平くんの指先を握りながら、私はそんな言葉を言った。あの時咄嗟に平くんの指先に触れた理由が、今ならはっきりとわかる。
この時、この場所でで流れている音楽には、いずれ終わりが来る。
でも、音楽は続いていく。
形は変わっていくけれど、私達の音楽は終わらない。

この部屋でギターを抱えながら、平くんはあの時の私の言葉を思い出していてくれていたのかな。

西日が眩しく、私は目を細める。
光の中に、平くんの曲に含まれる私と共通のものーーそれが見えた気がした。


プロフィール

幕田卓馬

Author:幕田卓馬
糖、脂質、プリン体、塩分などに気を配らないといけない歳になりました…若い頃の不摂生が原因でしょうか。まだ三十路、されど三十路!
そんな男が日々の合間に小説を書いています。

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。