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【新潟県】月岡温泉 その1

※後日写真貼り付け予定

2017年2月25日〜26日 新潟県 月岡温泉

◯1日目「妻、友人達との再会」

今回の旅はいつもと若干趣向が違っていた。

「大学の友達が結婚して東京に行く事になったの。だからその子の上京前にみんなで集まらないかって誘いがあったんだけど」
「いいんじゃね? 息子は俺が見てるし、たまには羽を伸ばしてこいよ」
「でも、今妊娠中だから体調崩れてみんなに迷惑かけたら嫌だし、もしもの時のためについて来て欲しいんだけど‥」
「えっ、マジで?」
それが旅の発端だった。

嫁の大学の友人という事は、要するに俺の大学の同期生でもある。
しかしながら大学時代から陰キャだった俺は同期生とは言っても彼女たちと会話した記憶はほとんど無く、結婚式の時にいたなーくらいの記憶しかないのである。
まぁなるようになるか、と開き直り、快く同行を承諾する。
よく知らない女性3人と会うのは些か不安ではあるのだが(俺必殺の対人恐怖症&挙動不審が発動しないか)、今回の目的地が新潟最大の温泉地でもある「月岡温泉」である事に心惹かれたのが正直なところだった。

月岡温泉は新潟県で最も有名な温泉地なのではないだろうか。
最近はイメージ写真に若い女性を起用したり、温泉フェスなるものを開催したり、小洒落た飲食店が軒を連ねていたりなど、若者特に若い女性を主なターゲットにしてマーケティングしているような感じがある。
つきおか→月丘って連想で「かぐや姫」を共通のモチーフにしているのもなんと女性的だ。
泉質は硫黄含有量が全国トップクラスらしく、お肌ツルツルの美人の湯らしい。
おっさんにとって美人云々はどうでもいいが、硫黄泉は「これもぞ温泉」って感じがして大好物である。期待が膨らむ。

当日は新潟市の大型ショッピングモールで嫁の服を買ってから温泉に向かう事になっていた。友達との待ち合わせは現地15時。
天気予報は雪→雨の予報であり、実際にも道中は吹雪、完全なる大雪状態だった。
「今回はさすがに無理だと思う」いつもの晴れ女談義だ「これだけ完全に天気が荒れてると、さすがに晴れは難しい」
そう弱音を吐く嫁に「今回ばかりは仕方ないよ」と慰めの言葉をかける俺。そもそも晴れ女なる眉唾物の特殊能力に期待などしていないし。
しかし新潟市に近づくにつれ雲は散り散りになり、大型ショッピングモールで昼食を食べている頃には春の陽気が降り注ぎ始めた。
戦慄する俺。
ドヤ顔の嫁。
晴れ女恐るべし。
そういえばこの旅の記録も4回目に突入するわけだが、全ての旅行が「途中で晴れる」という予期せぬ事態が発生しているではないか。晴れ女率、今のところ100パーセントである。

いい頃合いなので昼食後に月岡温泉へと向かう。
息子が昼寝モードに入ったので途中で時間を潰しながら、宿の駐車場に着いたのは14時30分だった。チェックインまで時間があるため、温泉街をそぞろ歩き。前回が草津だったため「え、もう終わり?」って感じだったけど、県の地酒を取り揃えた酒屋、オシャレな団子屋、出汁をテーマに商品をとりそろえたというちょっと変わった店など、旅行客には嬉しいお店もいろいろあった。
一方で「歌って踊れる行楽施設」みたいなところは見るも無残な廃墟と化していたりする。今の若者は歌って踊らないだろうし、この町の目指すところにそぐわない施設なんかは、どんどん廃れていってしまうんだろうな、なんて思った。ある種の古さの持つレトロ感は若者を惹きつけるオシャレさにつながるけれど、バブル期頃の中途半端な古さはその域まで達しておらず、原色のピンクがやけにどぎつく感じられた。これらの趣味嗜好がいずれ「レトロなオシャレ感」に変化する時は来るのだろうか。俺にはわからない。
お店は嫁の友人達と回る事になるんだろうし、とりあえずざっと見て駐車場に戻る。友人達が10分ほど遅れて到着するとのことらしく、旅館側の足湯へ3人で浸かった。
「温泉たのしいねー、月岡温泉だねー」と足をバシャバシャさせようとする息子を注意しながら、湯気を追ってのんびりと木造の屋根を眺める。お湯は草津の足湯よりも若干ぬるめだった印象。しかし硫黄の匂いが強いな。温泉感があって実にいい。

そうこうしてると嫁の友人達が到着した。
嫁を含めた彼女達4人は大学入学時からいろいろとつるんでいたらしい。3人とも嫁の写真で見たことがあるし、大学時代にすれ違った事もあるけれど、実際に面と向かって話すのは初めてかもしれない。
ちなみにそのうち1人は大学時代アパートに部屋が隣だったりする。あの時は騒がしくしてすみません。6人でチェックインを済ませ、嫁の友達3人が一部屋、俺ら家族3人が一部屋と別れる。
部屋は3人が泊まるには十分すぎるくらい広かった。ソファーのあるスペースがいい感じで、中庭の木々も眺められるため、大好き空間広縁が無いけど気にしない。
嫁と息子が友人達の部屋に行ったため、のんびり本を読んで過ごす。
ほったらかしにされてるけれど、こういう自由な時間はむしろ大歓迎だ。ソファーに寝そべっていると眠気が襲ってくるため、眠気と読書欲の鍔迫り合いをのほほんと眺めて過ごす。
どっかで温泉街散策に行くものかと思いきや、やはり女性が4人集まるとおしゃべりに大輪の華が咲いたらしい。気づけば夕食まであと1時間。そんで風呂に行こうって事になったらしく、俺もそれにならう事にした。

風呂はそこそこの広さ。黄緑に色づいた硫黄泉である。露天風呂やサウナもあって必要十分といったところだろうか。湯温は若干ぬるめに感じられた。足湯の時もそうだったし、ここのお湯はそういうものなのだろうか。
でもそんな細かい事は関係なく、温泉はやっぱり素晴らしい。これぞ日本文化の極みだ。
露天風呂で青空を眺めていると、湯気と共に天へと昇って行きそうな気分になる。
壁を隔てた隣が女湯の露天風呂になっているらしく、若い女性達の話し声が聞こえる。妻の友人達だろうか? そのキャッキャウフフな声を聞いていると、なんだかあまりよろしくない妄想が掻き立てられそうになり、いかんいかんと頭を振る。
しかし、嫁の友人達なら嫁や息子の声も聞こえていいはずなのに、2人の声は全然聞こえてこない。
まさか、息子がぐずって風呂に入らないでいる(息子は知らない場所が苦手)?
困った嫁が脱衣場で途方に暮れている?
そういえば、どこからか子供の泣く声が聞こえるような‥
そう思うと居ても立っても居られなくなり、そそくさと風呂場を後にする。風呂の前でちょっと待ってみたけど息子の声は聞こえてこないため、気のせいかと思い直し部屋へと戻った。
風呂上がりの嫁に聞いてみると息子は全然ぐずらずおとなしく風呂に入っていたらしい。
どうやらとんだ杞憂だったようだ。

夕食はすき焼き、カニ、刺身、釜で炊いたご飯、その他細々したものがたくさん。
写真の料理に加えて、追加で色々と運ばれて来た。一つ一つはこじんまりしているものの、種類が多いためそこそこのボリュームとなり、視覚的にも満足感が味わえた。
特に共通の話題が無い俺は、息子をかまいながら4人の話を聞いていた。はたから見るとよくわからない構図だろう。俺が第三者立場なら「女に囲まれて何だこのリア充男は爆発しろ」って思うけど、実際その立場に立つと、どう対応するのが最適なのか色々考えてしまってあたふたあいてしまった。極力4人の空間を作ってあげたいのだが、かと言って全く喋らないと気を遣わせてしまいそうだし、そういう微妙なさじ加減が何とも難しい。適度に頷いたりしながら過ごす。

しかし、収穫もあった。
大学時代のように屈託無く笑う妻を見る事ができたことだ。

古い友人と過ごす時、人はその頃の自分へと立ち戻る事が出来る。俺もたまに友人達と会うと、その頃のノリで笑い合い、一時だけだけど現実のしがらみを忘れる事が出来た。
自分と結婚し、地元を離れ、親になってから、妻は昔の自分を忘れたかのように日々の雑務に埋没していた気がする。しかし連続した時間を遡った時、妻はまるで少女のように笑った。
広く手を伸ばした樹木の幹は途切れる事なく地面まで続いている。
その幹に照れながら刻み付けた昔のメッセージを読み返すみたいに、俺もまた少年にような胸の高鳴りを感じた。

夕食を終えてからも、妻と息子は友人達の部屋へで楽しいおしゃべりを続けている。
部屋で一人、文庫本のページをめくりながら、俺はなんだか満ち足りた気分に浸っていた。



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プロフィール

幕田卓馬

Author:幕田卓馬
糖、脂質、プリン体、塩分などに気を配らないといけない歳になりました…若い頃の不摂生が原因でしょうか。まだ三十路、されど三十路!
そんな男が日々の合間に小説を書いています。

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