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スピード違反

連勤、早出、残業が続くと、なんだか心の一部がマヒした感覚になる。

俺の弱い心が傷つかないようにのうが脳がストップをかけているのかもしれない。

視界良好な田舎の一本道。

寝不足と疲労でぼんやり漫然運転をしていたら、スピード違反で捕まった。

田んぼを横切る細い道に誘導され、青空の下でなんか色々な処理をする。

一緒に捕まった後続車の運転手が警察に文句を言う中、俺は田んぼを通り髪をなびかせる風が心地よいと感じていた。

今日はこんなにいい天気で、こんなにいい風が吹いていたんだ。

警察に止められて初めて、その事に気づいた。

多分、今の俺は自分の制限速度を完全にオーバーして走っている。

警察に止められて、新人らしき警察官がよくわからない書類を書いている中、俺は何もしなくていい(ていうか何もできない)この時間を与えてもらえたことに感謝した。

なんかよくわからない。

月末の金曜まで仕事は続く。

まだ休むわけにはいかない。

でも、つかまってほんの少し休めたことがうれしかった。

仕事から帰ってきて、子供の嫁も寝てて、頭が仕事モードから休憩モードに切り替わってないからこんな駄文を書いている。

うーん、文章がおかしい。

でも、これも後から見返すと「あんときはこうだったなー」っていい思い出になってるんじゃね?

がんばろう。

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石川・金沢と能登半島(その2)

2016年5月3日~4日 石川・金沢と能登半島(その2)

○2日目(塩と千枚田、そして帰路へ)

旅館の朝食は美味い。

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これは料理自体の味が良いのもあるだろうし、特別な場所で一日の始まりを迎えるっていう気分の高揚が、味を引き立てるスパイスになっているってのもあると思う。
ご飯を3杯もおかわりしてしまった。
でもこういう系(なんか佃煮とかが色々ある系)の朝食は子供ウケがあまりよくないらしく、息子はご飯とハムと海苔だけ食っていた。
「おとーさん、おかーさん、○○ちゃん(義妹さんのなまえ)」と繰り返しながらご満悦の息子は、朝食の世話を焼いてくれるおばちゃん方に大人気だった。まぁこのくらいの年頃の子供は誰だっておばちゃん方に人気なんだろうけど、親バカな俺からするとやっぱり息子は世界一かわいい。誰に似たらこんなにかわいくなるのだろう。突然変異? 遺伝子の不思議。

部屋に戻って準備を整えると、昨日行けなかった千枚田に向けて出発。

空は快晴、本当に澄み渡るような空だ。

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この空と海を見られただけでも、はるばる能登半島を北上してきた価値があるなと思う。
ただ、風がめちゃくちゃ強い。

千枚田に向かう手前で、塩を製造している道の駅的な施設に立ち寄った。

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塩の製造体験が出来るらしく、大所帯の家族が円錐状の容器で砂の上に塩水を撒いて笑い声を上げていた。けっこう難しいらしく、小学生くらいの子供がやると塩水がこぼれて靴にかかってしまう。
建物の中では塩を使った製品が販売されている。
店内に飾られたポスターを見て「あー、前にNHKの朝ドラでやってた『まれ』って輪島あたりが舞台なんだっけー」と気付く。まぁ見たことないんだけど。義妹さん曰く「すごく自然豊かなところが舞台だったから、確かにここっぽい」との事。
海老やあごや唐辛子なんかがブレンドされた塩を味見すると、かなり美味し。海老のやつを一つ購入した。
会社へのお土産も忘れずここで購入。いつも何を買うか迷うため、ちょっと肩の荷が下りた気分。

そして再び千枚田に向けて出発。
駐車場は満車に近い状態だったが、運良く一箇所だけ空いていたところに滑り込む事が出来た。今回の旅行は運がいい。天気もよくなってくれたし、こういうちょっとしたタイミングがいい感じに噛み合ってくれる。
そして、昨日この千枚田を見られなかったこと、それもまた幸運の序章だった事に気付く。
今日この日、この時間こそ、最も理想的なタイミングだったのだ。
先ほど『この海と空を見られただけで、能登に来た価値がある』と言った。
でも、その言葉は明らかに時期尚早だった。
この景色だ。
この景色を見るために、俺たちは能登半島をはるばる北上してきたのだ。

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圧巻だった。
空は俺が今まで見たどの空よりも青く、海はどの海よりも深い。水の張られた水田は光の鱗のように太陽を反射し、複雑な濃淡を見せる緑がそれを優しく包み込んでいる。
俳句の一つでも捻ろうと思ったが、この景色を表現するキャパを自分は持っていない。
思い出の中で薄められたこいつならまだしも、今目の前にリアルで広がるこの景色は、素人の稚拙な文章表現に閉じ込められる事を頑なに拒んでいる。
強い風が吹いた。
俺の隣を吹き抜けて言った風は、この水田の横を通り、海の上を走り、空へと消えた。
自分が絵画ではない現実の景色の前に立っている事を改めて実感した。

妻が息子とソフトクリームを分け合って食べる。
最後の一口を落とした息子がショックで泣き出し、仕方なくもう一つ買って俺と息子が分け合って食べる。
そして再び車に乗り込んだ。

その後はのと里山道路にのり、金沢駅に向かった。
駅前は混雑していたものの西口側の駐車場になんとか停める事ができ、駅内のお土産スポットで義妹さんがお土産を買った。妻は桜の模様が入った扇子を買ってご満悦だ。
駅の中のうどん・そば屋でちょっと遅い昼飯を食べ、高速道路に乗って帰路につく。

都会的且つ伝統を感じる金沢市の街中から、自然が溢れる能登半島まで、石川県の魅力を余すところなく堪能した旅行だった。
金沢市のその他観光名所や、輪島の朝市など、時間の都合上見られなかった部分も多々あったが、車の窓から眺めた景色も一つの観光と考えるなら、結構色々なものを見て、感じられたと思う。
あとはわざわざ北東北の某市から来てくれた義妹さんが喜んでくれたなら――といったところだが、楽しかったと言ってくれてほっと一安心。
駄目押しで、近所の菓子屋さんで有名なロールケーキを購入し、アパートへ帰った。

石川・金沢と能登半島(その1)

2016年5月3日~4日 石川・金沢と能登半島(その1)


GWを利用して義妹さん(妻の妹)が泊りがけで遊びに来る。その義妹さんの「金沢に行ってみたい」という要望を叶える形で前々から計画していたのがこの金沢旅行だった。
とはいえ、北陸新幹線効果のためか金沢近辺の宿(予算の範囲内で泊まれる宿)はほとんど埋まっており、唯一見つけられたのが奥能登の方にある一軒宿のみ。

というわけで、どうせ能登の端っこに行くなら金沢+能登半島海岸沿い観光スポットを楽しもう、ってのを今回の旅行のテーマとした。

○1日目(金沢市観光)

愛車に荷物を詰め込んで出発!

6時予定のところ30分遅れての出発だったが、まぁ30分くらいは遅れるだろうと見込んでの予定だったので問題なし。

「予報は雨だったのに、(私のおかげで)すごくいい天気なった」とドヤ顔を自称晴れ女の妻と、「私も晴れ女だし」と返す義妹さん。まぁ2人の晴れ女による相乗効果が低気圧を吹き飛ばしたのか、それとも単なる偶然なのかは正直どうだっていい。俺は心地よく愛車のハンドルを握れればそれでいいのだ。

あらかじめ設定していたナビの案内に従い21世紀美術館の駐車場に車を停める。駐車場の混雑を見据えた早めの出発が功を奏し、すんなり車を停める事が出来た。
とりあえず21世紀美術館の無料ゾーンをぐるっと一回りしてみる。建物の中心が有料ゾーンになっていて、外側の通路部分は無料だった。ちょっと中の方も見てみる? とも思ったのだが、入場口の長蛇の列を見て「ぜってー無理」と感じた。
いかにもな感じのカブカル系銀髪女子や、おしゃれ上級者系ペアルックカップルなどが闊歩する空間に佇むと「うーん、芸術って感じ?」と何だか変に満たされた気持ちになる。雰囲気だけなら十分感じ取る事が出来た。思い出って事で有名な作品の前で写真を撮ったりしてみる。

さて、と気を取り直して隣接する兼六園へと向かう。一応今回はこっちの方がメインの予定。

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5月の淡い新緑と、冬を越えてきた力強い針葉樹の緑との対比が美しい。
敷き詰められた砂利にベビーカーのタイヤを取られ、額に汗を滲ませながら園内を歩く。木陰で立ち止まると、やわらかな風が木の葉を揺らした。風邪で熱にうなされている時に額へ当てられる冷たい手のように、それは滴り落ちる苦悶を拭い取る綿のような優しさを内包していた。

何かを象徴するみたいに、2羽の鳥が景色の中に同化していた。

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白と黒。
相反する二つの色さえ、ここ景色は平等に取り込んでしまう。

兼六園を出て、観光物産館で一通りお土産を見る。義妹さんはお土産を買うのが好きらしく、この観光物産館以降でも行く先々でお土産を買っていた。妻もお土産を見るのは大好きだが、経済的な理由から購入まで至らない場合が多い。単身者と家庭に入った人の経済的な差が表われているような気がした。独身の頃は妻も土産を買いまくっていたと記憶している。

俺はというと、車に戻りがてら21世紀美術館で本を一冊買った。
普段は欲しい本ですら古本で出回るまで待つ自分なのだが、旅行というのは財布の紐をガバガバに緩ませてしまうから困る。特にほしかった本ではないのだが、持ってくる予定だった本をアパートに忘れてしまい、その場しのぎで選んだ本。にもかかわらず、読んでみるとなかなか興味深い内容だった。買って正解。

車は再び走り出す。

車窓から差し込む明かりに目を細める。

ああ、暑い。

○1日目(能登半島を北上し本日の宿へ)

後の行程を考えると店で飯を食う余裕がなかったため、モスバーガーでセットをテイクアウトした。
「ぽてとー、ぽてとやべゆー」ポテトをものすごい速さでたいらげ、俺のハンバーガーをねだり始めた息子に、泣く泣くハンバーガーを譲る。

能登半島を北上するには「のと里山道路」という無料化された自動車専用道路が便利なのだが、途中でいったん下りて「千里浜なぎさドライブウェイ」へと車を進めた。そこは自動車で走れる日本唯一の砂浜であり、波打ち際を約8キロに渡って駆け抜けることが出来る。
着いてみると波打ち際に車を停めて砂浜でくつろぐドライバー達がずらり。また見るからに車好きそうな方々の集団もちらほら。GWという事もあり、おとぎ話サイズの巨大な芋たちが波打ち際で大量に洗われている。
俺たちもちょいと車を停めて、波と戯れてみた。
子供は大喜びだったが、細かい砂で車内が汚れて俺は少しショックだった。

その後、のと里山道路を北上したてから、途中で海沿いの国道に進路を変更した。

ちょっとした観光スポットである「世界一長いベンチ」をちら見して更に北上を続ける。

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海沿いの道は古い木造の家が建ち並び、いかにも海の潮風に耐え抜いてきた古い漁村の雰囲気を漂わせている。また山道に入るとあたりにはコンビニなど皆無で、20時には普通に閉まってしまいそうな個人経営のスーパーや、誰が食べに来るのか分からない古ぼけた飲食店なんかが時々顔を出す程度だ。
「何もないね」
その言葉を俺たち3人は何回繰りかえしただろう。

やがて輪島塗で有名な輪島市を通過し、本日最後の観光スポットである「千枚田」に近づく。
金沢市を越えてから今まで、北上すればするほど人の生活圏から離れていくような印象を感じていたため、有名な「千枚田」と言ってもどうせ数組の観光客がいるくらいだろう――そう思っていた自分が甘かった!
国道に突然現れる車の列。
それは千枚田側の道の駅まで続いている!
『満車です。2キロ先でシャトルバスが出ているのでそれに乗ってください』の看板。
そのシャトルバス乗り場も満車。
俺たちは千枚田を諦め、おとなしく宿へと向かうことにした。
比較的早い時間なら好いているだろう――明日に希望を託す。

そこから十数分走り、やっと本日の宿に着いた。それほど大きくない旅館だが、通された部屋は海に面していて非常に見晴らしがいい。
俺の大好きな謎空間「広縁」もちゃんとあって、夜の読書が捗るなーと期待に胸を膨らませる。

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ビールを一本飲んで、妻に勧められるまま先に風呂へと向かう。今日一日運転ご苦労様、明日もヨロシク、って感じだろう。残念ながら温泉ではないのだが、広々とした湯船でのんびり足を伸ばすと、温泉だろうが水道水だろうが気持ちいいことに変わりはない。
風呂から上がると丁度料理が並べられていた。

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料理のレベルは高かった。その上種類もボリュームも豊富で、全部食べ終えた頃には俺もお腹がいっぱいになっていた。メインは陶板焼きと、海藻しゃぶしゃぶというやつ。海藻しゃぶしゃぶは6種類くらいの海藻をスープに通して食べるのだが、海藻自体は主に歯ごたえを楽しむものだと感じた。特筆すべきはそのスープ、いや汁というべきか。多分酒かすと味噌かなんかで味付けされたやつだと思うんだけど、それが美味い。海藻をこんなふうに楽しむなんてなるほどなーと感心させられる。
ビールが日本酒に変わり、酒を飲むスピードが加速する。

食事を終えると嫁姉妹と息子が風呂に行ったため、布団に寝転がって買ってきた本を読む。

そこから先の記憶が曖昧だ。

どこかで歯磨きはしたと思うんだけど、気付いたら翌朝の4時になっていた。

仕方なく寝ぼけ眼で朝風呂に入り、日が射し始めた窓の外の海を眺めながら俳句を一句作ってみた。

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明け皐浪
荒れた背を掻く
白き爪

白い泡となった波の飛沫が、削り取られ凸凹になった岩肌の溝を流れて行く。その繰り返しが岩の溝をより深いものへと変えていく。


プロフィール

幕田卓馬

Author:幕田卓馬
糖、脂質、プリン体、塩分などに気を配らないといけない歳になりました…若い頃の不摂生が原因でしょうか。まだ三十路、されど三十路!
そんな男が日々の合間に小説を書いています。

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