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No.15 ナミアゲハ幼虫

近所の100円ショップ付近の植え込み? でアゲハチョウの幼虫を発見!

調べてみるとナミアゲハの幼虫に近いように見える。

「アゲハチョウ」というと真っ先に思い浮かぶあいつだ。

上:若齢幼虫
下:何回か脱皮した幼虫(スマホカメラの性能のせいかピントが合わなかった……)

ナミアゲハ若齢

ナミアゲハ幼虫

触ると臭覚という臭いのある触角を出して相手を威嚇する性質をもつ。

その色や形状も同定のポイントになるにもかかわらず、俺は写真を撮ることに夢中ですっかり忘れていた。

そういえば小学生の頃、家族旅行で宿泊した旅館の庭のニンジン畑でキアゲハの幼虫を発見し、
興奮した俺は旅館の部屋に持ち帰って眺めていたものだ。

翌日起きてみるとキアゲハの幼虫は脱走していて、旅館の窓のカーテンに張り付いていた。

朝日に照らされたキアゲハの幼虫の姿が未だに記憶に残っている。

虫嫌いのおふくろがよくそんな暴挙を許したなと、今思うと不思議に感じる。

ちなみにその幼虫は、
帰りがけに寄った水族館で車の中に入れっぱなしにしていた結果、帰らぬ虫となってしまった……。

なんか、思い出すと申し訳ない気持ちになる。



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ワースレスの夜明けに-第一章②

「一本吸っていきましょうか」
 22時丁度に喫煙所へ到着した黒井を見て、犀潟は別段驚く素振りも見せず無表情でタバコを取り出した。黒井もまたポケットからくしゃくしゃになったタバコを取り出して口にくわえる。
 夜の帳が下りてもなお街の人通りは絶えない。ただし昼間は蟻の行列のように規則的な歩行を見せていたスーツ姿の男たちの姿は消え、黒く硬い皮を脱ぎ捨て白シャツ姿の成虫へと羽化した男たちが夜の街を自由に飛びまわっていた。派手な化粧をした蝶が二人の近くに止まり、チョコレートの匂いがする細長いタバコに火をつけた。
「お兄さんたち、2人してなにしてんの?」蝶は首筋から花のような甘い匂いを漂わせている「うちの店すぐそこなんだけど、飲んでかない? あたし今からちょっとお使いなんだけど、すぐ戻るからさ」
「いえ、これから用事があるんで」女性を完全に無視してタバコの火種をぼんやり見つめている犀潟に代わって黒井が答えた。
「そう」女性は2人への興味を無くしたらしく、視線を行き交う人々へと向ける。
 黒井はこの女性のMVを推察しようとする自分の不毛な思考回路を、紫煙を肺いっぱいに吸い込むことでかき消そうとしていた。
「――行きますか」犀潟がタバコの火をもみ消し呟くように言った。黒井はほんの少しの躊躇の後に一度だけ頷く。この選択が正しかったのかはわからないが、引き返そうという気の迷いは今の同意行動で完全に消え去った。
「『高額買い取り業者』とはこの先のバーで待ち合わせしてあります」喫煙所の女から十分に離れたところで犀潟は口を開いた「当初は私一人という予定だったので昨晩もう一人追加される可能性がある旨を事前に伝えてあります。快くOKしてくれましたよ」
「電話の相手は、どんな人物だったんですか?」沸き起こる不安を打ち消すために黒井は質問を投げかける。情報が足りなかった。情報というほんの少しの吐息があれば小さなろうそくの炎のようなこの不安は簡単に消え去ってくれるだろう、そう期待した。
「男でした。用件を伝える程度しか話していませんので、どんな人物かなんてわかりませんよ」前だけを向いて早口で犀潟は答える。前を歩くこの男の背中からも不安の色がにじみ出ていた。黒井はこれ以上何も聞くまいと口を噤んだ。
 こんな気持ちをどこかで体験した事がある。あれは中学時代、不良に校舎裏へ呼び出された時にも今と同じ様な不安が沸き起こった。当時の自分も特に目立つ生徒ではなかったはずだが、その弱々しさがむしろ彼らの可虐性を引き立てたのだろう。あの時もこれから自分の身に降りかかるであろう悪に恐怖し、校舎裏までの距離が不自然に長く感じた。
 今から自分が合おうとしている人物も社会的に見れば悪の存在だ。
 正義を多数から肯定される日向の存在と表現するなら、悪は多数から非難される日陰の存在だ。どちらが正しいかはわからないが、少なくとも黒井はいままで多数に肯定される行為を選びながら生きてきた。だから日陰の存在は未知だ。その世界にどのような法則が存在し、自分の糧にしてきた知識や経験がどの程度通用するのか全く想像もつかない。未知は恐怖に直結するが、しかし好奇心という求心力もほんの少しだけ発生させる。その好奇心だけ頼りに、夜道に落ちたパンくずを辿るようにして黒井は歩いていた。
 
「ここのはずです」表通りを一本裏道に入り、居酒屋や風俗店が建ち並ぶ通りを過ぎ、ネオンの明かりが届かない下水の臭いがする薄暗い一角、看板に薄っすらと照明をともした小さな店の前で犀潟は止まった。看板には「worthless」と書かれている。無価値という意味だろうか。その皮肉が利いた店名に黒井は口の端を吊り上げて不自然な笑みを作ってみた。それは強がりの笑みだった。
 後ろを振り返り黒井の表情を確認する。黒井は小さく頷く。
 2人は店の門を潜った。薄暗い店内に他の客の姿は見えない。タバコと下水とそれを打ち消すような甘い芳香剤の匂いが店内に最悪の比率で充満している。その陰鬱な雰囲気に黒井は一瞬眩暈を覚える。タバコが吸いたくなった。
「いらっしゃい」カウンターに立つ小柄な女性が2人を見た。夜の店には珍しく化粧気の薄い若い女性だった。あまり派手ではない目鼻立ちが店内の薄暗さによって打ち消され、ほとんどのっぺらぼうのように見えた。男のバーテンダーが着るような服装をしているが、少年のような風貌と相まってそれほど不自然さを感じない。
「予約していた犀潟です」そう指示されたのだろう、犀潟が迷いなくそう伝えるとバーテンの女性は迷惑そうな顔をして店の奥を指差した。そこには小さな扉があしらえてあって、どうやら個室になっているようだった。部屋の中央に置かれた4人がけ椅子に座り飲み物を注文する。正直アルコールを飲みたい気分ではなかったが、犀潟が目に付いたカクテルを注文したため黒井も同じものを注文した。むしろアルコールを摂取した方が緊張を解してくれるかもしれない、そう思い直す。
 オーダーを取る時にバーテンの女性の顔を近くで見ることが出来た。地味目ではあるが思いの他整った顔立ちをしている事に気付き、黒井はほんの少しだけ見とれてしまった。ショートの艶やかな黒髪の片側をピンでとめているが、もう片側は伝票を見るため俯いた頬に流れている。もともと童顔気味な上、黒井の位置からは顔の半分が髪で隠れているため年齢を推察できない。見た目だけで言えば20代前半に見えるが、雰囲気は自分と同い年くらいに大人びて感じる。その細い首筋がこの店の陰鬱で卑猥な空気には似つかわしくなく、まるで怪物の住む洞窟に迷い込んだ子供のようなイメージが浮かんだ。
 小部屋を出て行く後姿を見ながら、黒井は彼女のMVに思いを巡らそうとして、思いとどまった。
 犀潟がタバコに火をつけ、黒井もそれに習う。この不気味で哀れな男の一挙手一投足を真似ている自分がなんだか滑稽で、若干情けなくも感じた。
 数分間が無言のうちに過ぎていく。
 バーテンが再び小部屋のドアを開ける。その手には盆に載せたカクテルを持っている。
「君ら、思い出の買い取り交渉に来たんだよね」カクテルテーブルに置きながらバーテンの女性は言った。変声期前の少年少女のような細く高い声だった「おせっかいだろうけど、あんまりその手の話に深入りすべきじゃないと思うよ」
 それはどういう意味ですか、とっさに返そうとした黒井の言葉を遮り犀潟が声を張り上げる「あなたには関係ない事です! 口出ししないで下さい」
 バーテンの女性は一瞬気圧され、しかし反感の意からすぐさま体勢を立て直すと小さな黒い目で犀潟を睨んだ「それはすみませんでした」そう言って小さく頭を下げると、彼女は小部屋を後にした。
「すみません、大声を出してしまって」犀潟は黒井へ頭を下げる「少し気が立っているみたいで――多分緊張しているんだと思います。上手く話がまとまるかどうか不安で」
 黒井は「いや」と呟いた。この犀潟という男がこの取引にどれだけの期待をかけているのか改めて突きつけられた思いがした。2人のMVの価値はほぼ同じだが、それぞれの立場や環境は全く異なっている。黒井は仕事を続けながらしばらくの間は自分ひとりを生かし続けることが出来る。しかしこの犀潟という男の場合は愛する妻という重荷を抱えながらも借金返済という針の筵を歩き続けなければならない。そこから逃れられるかどうかは今回の交渉に掛かっているのだから、冷静さを失うほどに緊張するのも頷ける。
 背負っているものが違う。
 黒井は軽はずみな気持ちでこの場所に足を踏み入れた事を後悔し始めていた。
 その時、ドアの向こうで客の入る音がした。
『いらっしゃい』バーテンの女性の気のない声が聞こえる『いつも通り、奥の部屋に通してあるから――』
 その言葉が言い終わらぬうちに、足音が近づき小部屋のドアノブが回る。
「どうも、こんばんは」少しだけ開いたドアの隙間から男が顔を出した。


ワースレスの夜明けに-第一章①

 黒井高志は疲弊していた。
 自由に動かない手足を懸命に動かしながら、敵と認識される人物を鉄パイプでひたすら殴り続けている。相手の頬骨は先ほど与えた一撃で砕け、だらしなく弛緩した下あごの端から涎が垂れている。骨を砕いた感覚が残る両手を振り上げ、渾身の力を込めて鉄パイプを横に振り切る。先端が相手の左腕に当たり朽ちた木の棒を踏みつけたような感触が鉄パイプ越しに伝わった。
 不快な感触だった。
 もうこんな感触は味わいたくないと黒井は願う。しかし敵と認識される相手は無表情で立ち上がり、ゆっくりと黒井に近づいてくる。何度も何度も。その恐怖と不快感から逃れるために黒井は再度鉄パイプを振り下ろした。その一撃で相手が地面に沈み、そのまま起き上がらない事を願いながら。しかしその願いは叶わない――
 飛び散る血液の遥か向こう側に人の姿が見えた。
 女性のようだった。
 どこか知っている人物の面影があるような気もする。しかし木彫りの面のようにのっぺりとした無表情は顔のもつ特徴を画一的で没個性的なものへと変えていた。人の顔は感情を体現するからこそ顔として認識できるのだろう。感情を失ったそれは単なる目と鼻と口と眉の集合体でしかない。
 知っている顔の様でいて、そもそも顔であるかどうかも疑わしい。
 そして自分は恐らく、この人物のために鉄パイプを握っている。そんな確信めいた思い付きが黒井の脳裏を過ぎった。
 一体何のために。
 思考の深みに嵌りそうになる黒井の隙を突いて、敵と認識される人物が更に一歩足を踏み出した。それに気付いた黒井の心へと恐怖が決壊した堤防から流れ込む濁流のように流れ込み、埋め尽くす。恐慌状態に陥った黒井は鉄パイプで相手の頭を何度も殴りつける。
 相手の頭蓋骨がひしゃげ、血とは違った液体が飛び散った。
 形が崩れた頭を揺らしながらも、相手は再び立ち上がる――

 そこで黒井は目を覚ました。
 意識が夢から現へまるで砂時計のように流れ落ちてくる。ガラスの球体が意識によって半分ほど埋まったところで、黒井は自分が夢を見ていたことに思い至った。
 アルコールに侵されたように身体の隅々を火照らせていた残暑は、ウイスキーグラスに冷水を注ぎ込んだかのようなもやを見せながら次第に薄まっていった。ここ数日の明け方の気温は手足の先が冷たくなるほどに冷え込んでいる。今朝も例に漏れず肌に触れる空気は秋の様相を呈しているのだが、黒井の額と首筋には玉のような汗が浮いていた。 
 まずは時計を確認する。10時を少し回っていた。バイトのシフトが13時からだから3時間ほどの余裕がある。無為に消費するには長すぎるが、何かを成すためには短すぎる時間だ。食パンをオーブントースターに突っ込んでから、汗で湿った枕カバーとシーツを洗濯機に押し込み、適量を無視して洗濯洗剤を垂らす。焼けた食パンにマーガリンを一欠け落とし、コップに牛乳を注ぎ、溶け始めたマーガリンを乱暴に全体へ伸ばしてから口の中に押し込んだ。
 感動も何もない味だった。牛乳で流し込むと、冷たさだけが舌先に残った。
 気がつけば30分ほど経過している。2時間30分では何かを成すために明らかに時間が足りない。こんなふうにして無為に過ぎてきた日々を思い出し、黒井は辟易した。しかし何か成し遂げたい事があるのかと問われれば、頭を抱え込んでしまうだろう事は予想がつく。結局、時間の問題にすり替えているだけなのだろう。
 何の気なしにテレビをつけると様々な情報が流れ込んでくる。
『首都で起きた殺人事件の続報』
『各地で散見される行方不明者問題』
『新型M-Pプレーヤーの最新情報』
『あなたの子供のMVを高めませんか――私立福高保育園』
『四菱自動車から新型ハイブリット車が販売されます』
 温いシャワーのような映像と音声をただ何となく浴び続ける。そこで洗濯完了のアラームがなり黒井は立ち上がった。

 13時の5分前に黒井はアルバイト先であるチェーンの古本屋に到着した。作業着であるジーンズ時のエプロンには名札が取り付けられている。挨拶をしてカウンターに入ると、大学生の男性アルバイトが平積みされた本を黒井の前に置いた。
「お疲れ様です、自分売り場に品出しに行ってきますんで、この本の処理しといてもらっていいっすか?」
 黒井は慣れた手つきで本のカバーを外すと黄ばみ具合でいくつかのグループに分け、その中から数冊を手に取り研磨機に固定した。ハンドルをスライドさせると回転するヤスリ部分が本の黄ばみを削り落としてくれる。各辺につき1回ハンドルをスライドさせた。本を取り外しエアーで粉を飛ばし目視で確認する。そんな作業を繰り返しつつ、たまにやってくる客のレジ打ちをする。
 研磨を終えた本は再度カバーを取り付け、表面をウエスで磨き、作業台に綺麗に並べてから、ラベラーで一気に値札をつける。それらをあいうえお順に並べて品出し用カートの上に置いた。
 17時頃から客足が一気に増えてくる。仕事や学校帰りの学生、買出しの帰りに立ち寄る主婦などがその主な客層だろう。
文庫本コーナーで品出しをしながら、黒井は今夜の事について考えていた。
その場の雰囲気で同行を決意したが果たしてそれは正しい判断だったのだろうか。あの犀潟という男は人を騙すような人間には見えなかったが、それは彼の身の上に同情している自分の勝手な思い込みである可能性も高い。かといって彼の言う『高額買い取り業者』に興味がないかといえば嘘になる。必要性というよりも、好奇心に近い感情から来る興味ではあるが、何かしら今の自分を変えるきっかけになるかもしれない。
 そんな事を考えていると女性の声に呼び止められた。
「すみません、本を探しているんですけれど」大学生風のその女性はかごの中に数十冊の文庫本、新書、単行本を詰め込んでいる「山田小太郎って作家さんの文庫本なんですけど、この欄に無いみたいで――」
 黒井は文庫本コーナーを見て回る。100円コーナーには無かったが、プロパーコーナーには他の本の隙間に隠れて一冊の薄い本を発見した。女性は礼を言ってレジへと向かう。
 あの量の本を読むには年単位の時間が必要になるのではないか、普段本をほとんど読まない黒井はそんな事を考えた。あれだけの本を読むという行為に苦行以外の意味や目的を見出せない。珍しい生き物を観察するような目で黒井は店の自動ドアを潜る女性の後姿を一瞥した。
 このアルバイトを長く続けているのだから、本のタイトルや作者名だけは頭の中に叩き込まれている。先ほどの山田小太郎の本にしても、かなり薄い文庫本のため背表紙に書かれた文字を読みながらでは探し難く、背表紙の色合いや字体などを目安にしてあたりを付けていかないと到底探しきれない。本の表面を知っているからこそ探し出せた部分がある。しかし本の内面については全くの無知だった。表紙の裏に書かれたあらすじで大まかな内容を把握している本もあるにはあるが、本のタイトルや作者名の知識量と比較すると本の中身に対する知識は文庫本の1ページにも満たないほど薄い。 ただ黒井はそれでいいと思っている。
 本なんてものはただの虚構だ。
 他人の思想を文字でなぞったところで何の意味があるのだろうか。自分自身には何の影響ももたらさない――M-Pと同じ様なものだ。
 古本屋の店員らしからぬ考えだな、と黒井は思い、シニカルな笑いがこみ上げてきた。


ワースレスの夜明けに-プロローグ

 弓張り月の弦が引かれ円をなしていくように、季節は凪いだ海の波のような緩慢さで秋へと移り変わっていたようだ。
 ビルの自動ドアが開いたときに感じた鼻腔を張り付かせる乾いた風と、群衆という流動体が湛えるペールオレンジの明らかな減少によって、今更ながらに季節の変化を実感する事になった。体中の感覚器官がそんなどうでもいいような事柄を一々感じ取ってしまうのは、きっと今の自分が擦りむいた膝の傷に張った一枚の薄皮みたいに、吹きかけられた息さえも痛みと感じてしまうほどに敏感なセンチメンタルに陥っているからだろう。
 「50万か」黒井高志は呟いた。その金額が今の自分を作り上げたものに対しての総合的な価値ならば、自分の30年間は海岸の砂を積み上げて作った無価値な砂の像に等しい。それは悲しむべき事なのだろうが、どの程度悲しめばいいのか黒井にはわからず、ただタバコが吸いたいという欲求に突き動かされビルの外れに設置された灰皿へふらふらと歩いて行った。
 喫煙所には先客がいた。眼鏡をかけて頬がこけた同い年ぐらいの男だった。黒いシャツの袖をだらしなく肘まで捲り薄汚れたベージュのチノパンを履いている。男はタバコに火をつけて数口吸うと、苛立ちをぶつけるように荒々しく火種をもみ消して、また新たなタバコを取り出して火をつけた。黒井は男と灰皿を挟んで対面に立つと、カーディガンのポケットに突っこんでいたタバコを取り出し使い捨てライターを擦った。
 煙を吸い込むと使い込まれた消しゴムのように感覚の角が削り取られ、今まで考えていたことが夢の中の出来事のように思えてくる。現実なんてものは少しだけ鮮明で持続性があるだけのただの夢なのではないだろうか。
「いくらでした?」そんな男の問いかけに対して個人情報を不用意に口に出してしまったのも、夢と現の境目が曖昧で判断力が低下していたからだろう。
「50万、らしいです」
「私は65万でしたよ」男は溜息とともにそう呟いた「あなた、ご結婚は?」
「していません。独り身です」
「なら結婚経験の差でしょうね。それを除けば、きっと私はあなたより価値の低い人間ですよ」八重歯の目立つ黄色い歯を見せて笑った「他の会社でもおおよそこんなものでした。他をあたってみるつもりなら無駄足を覚悟した方がいいかもしれませんよ。おそらく私達みたいな小市民のMV査定は経費を押さえるためにカルテルを結んでいるのかもしれませんし」
「どうなんでしょうね」曖昧に応えるが元々他の会社をあたるつもりはなかった。50万が60万になろうが70万になろうが、数千数億のMVを持つ者からすれば微々たる違いに等しい。
 同じ人間でありながら、人生の価値にこれほどの違いが生まれる事を認めたくなかった。
 頭ではそういうものだと割り切っているつもりだが、心がそれを拒んでいる。

 人間の「思い出」というものに物質的な価値が生まれてから四半世紀が過ぎた。
 記憶をデータとしてアウトプットし媒体へ取り込むことで、人々は公開された他人の購入し記憶を自由に閲覧できるようになった。記憶――思い出というものは不思議なもので、同じ事を経験したとしても、その見方感じ方は受け手によって千差万別だ。夕日を見て感涙を流す者もいれば、憎い相手を思い出し怒りを露わにする者だっていないとは限らない。思い出は客観的に事象を記録したフィルムではなく、あくまでも観測者の内面に生じた感情が作り出す一種の「芸術作品」だ。
 想い出の閲覧によって、映像だけではなくその時感じた匂い、肌の感覚や音、そしてそれによって沸き起こった感情を含めた全てを、他者が自由に経験できるようになった。
 だから写真やテレビとはまた別のジャンルとして「思い出」の商業化が始まった。
 むしろ見た人間の感情までも左右できる「思い出」の効果は、幸福感を高めるために使用されるドラックの一種に近いのかもしれない。数グラムの粉が高値で取引されるように、合法的に快感、満足感を得られる第三者の「思い出」は高額で取引されるようになる。
 そして人間の価値の二極化が進んだ。
 安定した精神構造を持ち幸せな人生を歩んできた「高価な思い出を持つ者」。
 常に不安や劣等感に苛まれながら灰色の人生を送ってきた「価値の低い思い出を持つ者」。
 黒井は自分が後者であることを改めて実感していた。
 
 30歳になると自分の思い出の価値(MV)を担保に幾何かのお金を得る事が可能になる。30歳を過ぎれば人間の人格形成があらかた固まるため、今後の価値の変動が少ないと判断されると説明を受けた。思い出のアウトプットは当事者が死亡した後に行われるため、基本的には思い出を扱う特定の会社と契約を結び、生前給付の形でMVに見合った資金を得る事が出来る。それを元手にして様々な経験を積み、更にMVを高める事でも可能――先ほどの会社でそのような説明を受けたが、MVの低い自分には当てはまらないと黒井は自覚している。自分は50万の人間だ。50万で一体何が出来るというのか。

 一般的に低いMVの思い出は実験用として使用されるらしい。
 自分が必死に生きてきた人生は、ケージで飼育されているマウス程度の価値しかない。
 それが悲しかった。

 タバコの火を灰皿でもみ消して立ち去ろうとすると背後から「あの」と声をかけられた。振り向くと曇った眼鏡の奥の丸い目がこちらを見つめていた。その目からは屠殺を待つ家畜のように切羽詰まった感情が覗く。
「なんですか?」黒井は応える。
「もう少し、話しませんか?」男は道路向かいのファミレスを指さしている。
 この男が何の目的でこのような提案をしたのかは皆目見当がつかなかったが、このまま狭い犬小屋のようなアパートに帰って背中を丸めてテレビを漫然と見つめるしか予定のない黒井にとって、その提案は別段迷惑なものではなかった。
 誰かと話していたい。
 誰の話を聞いてあげる事で、自分の価値を再認識したい。
 自らの中にあるそんな感情を発見し、おそらく相手も同じ気持ちなのかもしれないと黒井は納得した。
「いいですよ」黒井は応え、二人はファミレスへ向かった。

 ファミレスは喧騒に満ちていた。
 喫煙席を指定すると右奥の区画に通された。ソファー席に腰を下ろし黒井はタスキ掛けしていた鞄を下ろす。男は早速タバコを取り出すと何かに追い立てられるようにタバコに火をつけ煙を吸い込んだ。
 MV査定受けて以降、黒井は目につく人々のMVを無意識のうちに推察してしまっている自分に気が付いた。
 向こうの禁煙席に座っているあの若いカップル。男女ともに顔立ちが整っていて性格も誠実そうに見える。おそらくこの近くの有名私大の学生だろう。競争の中で常に上位を走り続け、周囲からの信頼も厚く、常に異性から好意を持たれ、その中から選択した気の置けない恋人を得て、至極真っ当に成長してきたに違いない。このまま成長が進めば初査定の30歳時点ではおそらく500万くらいにはなるだろうか。小中学校の同学年の上位5%に含まれる。
 こちらの喫煙席に座っているダボダボの服を着てアクセサリーをじゃらじゃら着けたガタイのいい金髪の男。学生時代はその容姿と暴力で周囲を支配していたのかもしれない。心のどこかに何かしらの孤独を抱え、それを隠すために虚勢を張り続けた結果いつしか周辺には同じ傷を持つ仲間たちが集まり互いに傷を舐め合うようになった。合コンや友人の伝手で知り合った女性に「一生お前を愛す」と誓うが、小さなことで喧嘩しては破局を繰り返す。しかし舌の根が乾かぬうちに別の女性の耳元で「一生お前を愛す」と囁く。しかしその全てが彼の中で美しいドラマとして昇華されているのならMVはおそらく200万くらいだろう。
 様々な人間が様々な価値の上に成り立っている。
 しかしそれは――
「私は犀潟恵介と言います」男の自己紹介で黒井の思考は現実に引き戻された。
「俺は黒井高志です」黒井は改めて相手の容貌をまじまじと見つめながら軽く頭を下げた。不気味な男だった。身体はやせ細っていて生気が感じられないのに目だけは異常に鋭い。
「とりあえずコーヒーを2杯頼んでおきました。よろしかったですか?」どうやら妄想に耽っている間にウエイトレスが注文を取りに来ていたらしい。黒井は、はい、とだけ答えた。
犀潟は周囲を見渡すと「ほんと、バカらしくなりますよね」と呟いた「同じ人間なのに、持っている思い出だけで差をつけられたんじゃ――」
 そう言ったところで小柄で平凡な顔のウエイトレスがコーヒーを運んできた。彼女が踵を返すと犀潟は続ける「たちが悪いのが、MVは主観的な要因のみで決まるって点ですよ。仮に他人を蹴落とし踏みにじって得た勝利だったとしても、本人がそれに気づいていなければ最高の美酒になるわけですから。逆に勝利の裏に潜む敗者の存在に気付けるような過敏な感性を持つ者は、勝利の美酒が泥水にかわりMVが低下する」
「たしかに性格に左右される面があります」ただ黙って聞いているのも良くないと思い、黒井は適当に相槌を打つ。
「そうなんですよ。極論、他者を省みない自己中心的な輩が得をして、他人への気遣いを持ち合わせている繊細な者は損をする」
 黒井は犀潟の熱弁を聞きながらタバコに火をつけた。
「すみません、今ここで文句を言ったところでどうにもならないですよね」犀潟はコーヒーに砂糖を4本入れてスプーンでかき混ぜた。その様子だけで黒井は胸焼けが起きそうになる。
「黒井さんも入れますか?」その気遣いを黒井は丁重に断った。

「それで、どういったご用件で?」コーヒーを一口飲み黒井は尋ねる。カップの中では薄茶色の気泡がゆっくりと円の軌跡を描いている。
「いやぁ、ここで会ったのも何かの縁と思いましてね。実は私、最近ちょっとした情報を仕入れたんですよ。もしかしたらそれが黒井さんの助けになるかもと思いまして」犀潟は上目づかいに黒井を見る。眼鏡越しの鋭い目が刀剣のように細められた「黒井さんは、MVを高める方法をご存知ですか?」
「それって――」思い当る方法は一般的に考えて3つある。
 1つ目は、良質な思い出の作成に適した精神構造を持つ人材に対し商業的価値を更に高めるために行われる、メンタルサポートや思い出の提供を行う業種。
 2つ目は、一般に売り出されている精神構造を改善させると謳われた眉唾物の商品群。
 そして3つ目は、非合法的に扱われている特殊な思い出の高額買い取りや、MVデータの改竄など。
 犀潟の表情から、彼の言わんとしていることは3つ目に近いのだろう。
「私、思い出を高額で買い取ってくれる業者を知っているんです。この前仕事の関係で偶然その業者への連絡手段を手に入れましてね」口元に下卑た笑いが浮かんでいる「興味はありませんか?」
 興味がないとは言えない。しかしそう答えてしまうと、踏み込んではいけない世界の扉を開いてしまうような気がして言い淀んだ。それに『なぜその話を自分に』という疑問符が目の前の男に対する疑念の裏側に張り付いている。
「犀潟さんは、その業者に行ってみるつもりなんですか?」黒井は質問に質問で返す。誰かの投げた餌に食いつく前に、その餌に釣り人の針が隠れていないか入念に調べなければならない。
「私は、行ってみようと考えています。今回実際に査定を受けて、その決心は強まりました。私の場合、出来るだけ早くまとまったお金が必要なもので――」
「出来るだけ早くですか?」黒井が聞くと犀潟はバツが悪そうにコーヒーカップに目を落とした。
「借金です。妻が『コレ』に嵌ってしまって」犀潟はコレのところで自分の頭を指さした。この仕草は「M-Pプレーヤー」を使用している様子を意味する。
 
 M-P――人々から抜き取られた思い出は『メモリーパール』と呼ばれ、『M-P』という通称で世に出回っている。人々の記憶の中で精錬され凝縮され輝きを増していく思い出を、貝の体内でカルシウムと有機物が固着することで生じる真珠の美しさに照らし合わせてそう呼ばれるようになったらしい。
 記憶の真珠などとはよく言ったものだ。最初に言い出した人間の得意げな顔が目に浮かぶようだが、黒井はいつもその呼び方に嫌悪感を覚える。ただの生き物の体液の塊が見栄えの良し悪しだけで宝石のように扱われたり、石ころのように破棄されたりする。その判断がマジョリティの価値基準によって定められている事実は、四半世紀前に誕生したM-Pという新たな価値の本質を如実に示しているような気がしている。
 思い出の価値を見た目の派手さだけで決定するのは不自然な事だ。
 思い出は宝石――物質ではない。

 小指の爪ほどの大きさの球状の媒体に記憶された思い出――M-PはM-Pプレーヤーというフルフェイス型ヘッドセットにはめ込む事で鑑賞できる。脳の各部位に直接電気信号を送る事で、M-Pの視覚映像や匂い、触覚、音、そしてその時の感情までも任意に発生させ、本来思い出の持ち主と同じ感情を持ちながら同じ体験をすることが出来る。
 仮に高所恐怖症の人間が南国の海を飛び回るパラセイルの爽快感を含んだM-Pを再生したとする。その場合、通常であれば生じるはずの恐怖の感情は一切起こらない。本来の持ち主と同様に空を散歩する喜びと景色の美しさだけを感じる事が出来る。
 しかしM-Pプレーヤーは非常に高価だ。豪邸に住み高級車に乗りM-Pプレーヤーを所持する、それは生活水準の高さを誇示する一種のステータスになっているほどで、一般人が易々と手に入れられるものではない。最近は再生時間の短い廉価版が発売されたらしいが、それにしたって百万は下らない。そこにソフトとしてM-P自体の価格も上乗せされる。失礼な話だが、犀潟がそれを補って有り余るほどの収入を得ているようには到底見えない。そのしわ寄せは莫大な借金として彼の肩に圧し掛かっているのだろう。

「恋愛関係のM-Pに嵌まってしまって、毎日ソファーに凭れて社長令嬢だか医者の娘だか舞台女優だかの激しい恋のM-Pを再生しているんですよ。私が仕事から帰っても声さえかけて来ない。先日なんかね、帰るとソファーに横たわって自慰をしていましたよ。私の存在にも気付かずに、呆然と立ち尽くす私のすぐ目の前で、だらしなく口を開けて。バカらしいでしょ。彼女にとって私は一体なんなんでしょうね!」
「そうですね、ほんとにそれは――」徐々に語気が高まる犀潟を宥めるように言って、黒井はそっと周囲を見回す。隣のテーブルに座った中年のカップルがこちらの様子を伺っていた。
「すみません、取り乱しまして……」困惑した黒井の様子に気付き、申し訳なさそうに頭を下げ、タバコを口にくわえる「まぁ、そういう事です。そんな事が続いて今私はお金を欲している。今の生活をリセットするためにはお金が必要なんです。それに――」
 犀潟はタバコの煙を肺いっぱいに吸い込むと自分の頭の上に吐き出した。煙を睨むその表情には憎々しい相手を呪い殺そうとするかのような怒りと、そんな感情の炎に身を投じてしまった自分自身への悲しみが見えた。
「それに、私の思い出――私と妻との想い出があんな値段なんて、納得できないじゃないですか」
 犀潟は今でも妻を愛しているのだろうな、と黒井は思った。
そう思うと今まで不気味さを感じていた彼が急に哀れな男に思えてきた。
 愛する妻は、自分との思い出を切り捨て、他人の思い出の甘さに溺れている。そんな生活から抜け出すために一念発起して受けたMV査定だったが、結局は大した値段にならなかった。妻がのめり込んでいる他人の思い出の10分の1の価値だろうか。
 自分と妻との過去を否定されたような気分だろう。
「だから私は、その『高額買い取り業者』とやらと取引してみようと考えています。だって、悔しいじゃないですか」
「その気持ちはわかります」自分自身の感情にいくらか犀潟と重なる部分がある事を黒井は自覚した。
 自らの価値を否定されたことに黒井も同じような感情を持っている。
 自分の思い出――自分を作り上げてきたものはそんなに安くはないはずだ。
 目の前の男に至っては、最愛の妻に過去の思い出の無価値なものとして扱われ、その悲しみや憤りをMV査定という第三者に再度突きつけられた。傷口に塩を塗りこまれるようなものだろう。
「明日の夜22時に、またあのビルの前の喫煙所に来ます。30分待ちますから、もし黒井さんも興味があるのであれば、是非」
「考えてみます」そう答えたが、頭の中では明日のバイトのシフトを考えていた。21時上がりのため22時には充分間に合う――そう考えている自分の気持ちは、既に同行する方向に傾いているのかもしれない「でもなぜ、俺に声を掛けたんですか」
 最初に感じた疑問を犀潟に訊ねる。
 犀潟は寂しそうに笑った。
「あなたも私と同じような目をしていましたから。それにこんな無価値な私にだって、誰かの役に立ちたいって気持ちがあるんです」

 ファミレスを出るとビルの合間から夕日が覗いていた。
 人をあざ笑うかのようなその赤く滲んだ色合いに、黒井は薄ら寒いものを感じた。


【レース結果】9月19日、20日、21日

※キングヘイロー産駒のレース結果です。

9月19日(土)

◎中山競馬場

2R 2歳新馬 
 ゲインザリード 11人気(55.2倍) → 4着

12R 3歳上500万下
 サクラフローラ 1人気(2.7倍) → 9着

◎阪神競馬場

2R 2歳未勝利
 フォルトゥーナ 10人気(32.5倍) → 12着
 
9月20日(日)

◎中山競馬場

5R 2歳新馬
 スズオーフェン 7人気(17.3倍) → 14着

◎阪神競馬場

6R 3歳上500万下
 フィエルテ 7人気(12.1.倍) → 1着

7R 3歳上500万下
 イシス 15人気(252.2倍) → 16着

9月21日(月)

1R 2歳未勝利
 オーミポルカ 5人気(14.9倍) → 4着

【コメント】
SWは実家に帰省していたため競馬を見れませんでしたが、
フィエルテが500万下を勝利してくれていました!
おめでとう! そしてありがとう!

【勝率】
2勝/22レース (0.091)

【レース結果】9月12日、13日

※キングヘイロー産駒のレース結果です。

9月12日(土)

◎阪神競馬場

3R 3歳未勝利
 タイセイグローリア 15人気(300.4倍) → 12着
 
9月13日(日)

◎中山競馬場

1R 2歳未勝利
 シャンポール 6人気(16.0倍) → 2着

2R 2歳未勝利
 コスモブランカ 10人気(104.5倍) → 4着

3R 2歳新馬
 ミヤビクラリタ 10気(55.6) → 13着

9R 木更津特別(1000万下)
 スワンボート 5人気(222.1倍) → 15着

10R ながつきS(1600万下)
 キタサンミカヅキ 6人気(27.9倍) → 2着

11R 京成杯AH(GⅢ)
 シャイニープリンス 10人気(20.9倍) → 6着

12R 3歳上500万下
 セイウンアワード 3人気(6.2倍) → 7着

◎阪神競馬場

11R セントウルS(GⅡ)
 マヤノリュウジン 6人気(17.8倍) → 5着

 【コメント】
今週は勝ち馬がいなくて残念…
しかし人気以上の着順で奮闘した馬が多かった印象もある!
重賞出走のシャイニープリンスやマヤノリュウジンも直線でいい伸び脚を見せてくれた!
1着馬にも負けていないレース内容だったと思う!

【勝率】
1勝/15ース (0.067)

どんびき!~曇天大学軽音楽部弾き語り部門~⑩

第10話「予期せぬ訪問者」

外は雨が降り続いている。

透明な檻で隔離されたこの部室の窓から、時間という濁流に支配された外の世界を覗き見ると、僕は再び読みかけの小説に視線を戻した。

一人きりの部室は不自然なくらい静かでどことなく曖昧な空気で満ちている。ここが現実なのか、夢の中なのか、はたまたあの世の片隅なのか、なんだかよくわからなくなる。ただ細々とした呼吸音を意識するたびに、なんとか自分が生きていることを実感できる始末だ。

先輩2人は何やら就職ガイダンスのようなものがあるらしく、正方寺はバイトがあるらしい。誰か1人2人が用事でいない事はあっても、部室に一人きりという経験はあまりにないため新鮮に感じる。
そもそもそういう日には僕も部活に参加せず帰ってしまうのだが、そうしなかったのは外の雨が余りにも静かにシトシトと降り続いているからだ。

やはり僕は文字通り雨の檻によってこの部屋に閉じ込められているのかもしれない。

部室で一人、檻の蓋が開かれるのを待っている。

――と、そんな幻想に浸っているのにドアの外が何やら騒がしい。女子二人の話声が聞こえ、僕は意識を部室のドアへと移した。

『ここじゃね?』
『でもここ、卓球部の部室って書いてある……』
『いや、上からテープでなんか貼ってる』
『えっと、えっと、弓、単、言……』
『これって弾き語りって書いてあるんじゃね? てか、字が下手すぎてウケるわ』
『よしっ! じゃあ開けるから、珠美ちゃんも一緒に入って来てね』
『えーひまり一人で行けばいいじゃん』
『やだよー、お願い一緒に来て!』
『わかったわかった』
『じゃあ開けるね、行くよ?』
『わかったわかった』

「お邪魔しまーす」

そこでやっと女性二人が部室のドアから顔を覗かせた。

先に入ってきた方は長い黒髪で前髪がパッツンの女性だ。淡い青色でふわふわした感じの長いワンピースの上にカーディガンを羽織っている。
それに続いて入ってきたのは茶髪でセミロングの気の強そうな女性だ。首元がゆったりした長袖Tシャツを着て、下は黒いレギンスの上にジーンズ地のショートパンツを穿いている。
おそらく前者が「ひまり」さん、後者が「珠美」さんだろう。

そこで僕はひまりさんの手にギターのハードケースが握られている事に気付いた。

「えっと私2年の金谷ひまりと言います。こっちは付き添いで来てくれた清里珠美ちゃんです」
「てか、あんた一人?」清里珠美さんが唐突に切り出す「あのイケメンさんはいないの? ほらこの前の新歓で漫才やってた」
漫才なら自分もやっていたのだが、彼女が言っているのは正方寺の事で間違いないだろう。しかし今の聞き方は自分が漫才の片割れだと気付いてないような言い方だった。ステージでライトに照らされてすら、自分の顔が認知されていない事にほんの少し落胆を覚えた。
「失礼な事言っちゃだめだよ」金谷ひまりさんが清里珠美さんの暴言を窘める。「私たち実はお願いがあってきたんです」
「お願いって?」僕は立ち上がり、部室の中央に置かれた四人掛けテーブルの片側を二人にすすめ、その向かい側に自分も座る。
「このギター、おじいちゃんの形見なんですけど――」テーブルの上にギターのハードケースが置かれた「壊れちゃってるみたいで、直せるか見て欲しいなって思って来たんです」
楽器店に持っていけば済む話のような気もするけど、行き慣れていない人には敷居が高いのかもしれない。僕は二人に断ってハードケースを開けた。

「おお、YAMAHAのFGだ」YAMAHAのヴィンテージアコースティックギターだ。僕の使っているギターもYAMAHAなのでなんとなく親近感が湧く。

ギターは弦が3本切れているだけだった。
べっ甲柄のピックガードに擦り傷が見られ、ペグの部分に若干錆が出ているが、それ以外は至って良好な状態だ。ネックが若干順反り(弦のある側に曲がっている)気味だが弾く分には問題なさそうだし、直すつもりなら近所の楽器店に頼めば事足りる。

その事を伝えると二人は心底ほっとしたようだった。

「ひまりのじいちゃん、あたしらが小さい頃いつもそのギターを弾いて聞かせてくれてたんだよね」清里珠美さんが言う「じいちゃんが亡くなってひまりがこのギターを譲り受けたんだけどなんか壊れてるみたいでさ。もう二度とあの音が聞けないのかって思ったら、なんかさみしくなっちゃってね」
「ふーん」僕はその話に耳を傾ける。一本のギターが背負う思い出、というシチュエーションになんだか胸が揺さぶられる。

「直るってわかってほっとしました」金谷ひまりさんが丁寧に頭を下げた「ありがとうございました。楽器屋さんに行って弦の張替えをお願いしてきます」
「あ、ちょっと待って」僕は自分のギターのソフトケースから予備の弦を取り出した「今ここで替えてみるよ」そんな言葉が口をついたのは、このヴィンテージギターの思い出が染みついた音色を自分も聴いてみたい、という下心があったからだろう。

最初は遠慮していた金谷ひまりさんだったが、僕が自分の下心を打ち明けると「それじゃあ、お願いしようかな……」と申し訳なさそうに言った。

僕は作業を開始する。

「えっと、お名前を伺ってもいいですか?」金谷ひまりさんに訪ねられ僕は自分が未だ名のっていないことに気付く。
「平均です」
「平さんも、この前の新歓で漫才をしてましたよね。面白かったですよ」
「いやぁ――」面白かった部分は完全に社交辞令だろうが、金谷ひまりさんは僕の顔を覚えていてくれたらしい。それが少しうれしくて、なんだか照れ臭かった。
「え、あんたがあのイケメンさんの相方?」清里珠美さんはやはり気付いていなかったようだ。

「完了です」ギターの弦を張り終えると僕はギターを抱える「では、ちょっと弾かせてもらいますね」
頭の片隅にコード進行が残っていた昔のフォークソングを弾いてみる。

小さなガラス同士が空気中でぶつかり合うような繊細な音色だった。弦一本一本の音が立体的に浮かび上がり、それらがガラスの糸となって互いにぶつかり合い絡まり合う。その時に歯切れの良いきらびやかな音色が生まれ、欠片のように空気中に散りばめられる。
素直にいい音だと思った。
製品の質もさることながら、今までの奏者が大事に扱っていたのが良くわかるやさしい音。

「おじいちゃんの音だ」金谷ひまりさんは呟いた。

弦代を渡そうとするのを固辞すると、二人はお礼の言葉を述べて去って行った。

また一人きりになった部屋で、僕はこの弾き語り部門にしては珍しい出来を回想する。
心が中心から温められていくような感覚に、自然と笑みがこぼれた。

人の役に立てるのはうれしいものだ。

爪弾きものの弾き語り部門として、お世辞にも人のためになるような事をしているとは言えない僕にとって、その小さな感謝の言葉は何物にも勝る報酬だった。

雨はまだ降り続いている。

今日会った二人の女性が、今後の弾き語り部門を――僕の青春を大きく変えていくことになろうとは、雨に魅入られぼんやりと窓の外を眺めていたあの時の僕には知る由もなかった。

【出走予定】9月12日、13日

※キングヘイロー産駒の出走です。

9月12日(土)

◎阪神競馬場

3R 3歳未勝利
 タイセイグローリア
 
9月13日(日)

◎中山競馬場

1R 2歳未勝利
 シャンポール 

2R 2歳未勝利
 コスモブランカ

3R 2歳新馬
 ミヤビクラリタ

9R 木更津特別(1000万下)
 スワンボート

10R ながつきS(1600万下)
 キタサンミカヅキ

11R 京成杯AH(GⅢ)
 シャイニープリンス

12R 3歳上500万下
 セイウンアワード

◎阪神競馬場

11R セントウルS(GⅡ)
 マヤノリュウジン 

【コメント】
今週は重賞出走馬が2頭!
応援し甲斐がありますね。
シャイニープリンス悲願の重賞制覇に期待!
あと地味に新馬戦や2歳未勝利戦なんかも、未来の名馬がいそうな気がして気になるね。

【レース結果】9月5日、6日

※キングヘイロー産駒のレース結果です。

9月5日(土)

◎新潟競馬場

3R 3歳未勝利
 シャイニーヘイロー 13人気(312.0倍) → 14着

5R 2歳新馬
 ダイチラディウス 13人気(173.0倍) → 8着

7R 3歳未勝利
 ニシノアンジュ 2人気(4.1倍) → 4着

◎小倉競馬場

11R 北九州短距離S(1600万下)
 メイショウライナー 3人気(5.5倍) → 1着
 
9月6日(日)

◎札幌競馬場

1R 2歳未勝利
 キタサンコトブキ 3人気(7.9倍) → 13着

7R 3歳500万下
 キョウワメロディー 14人気(152.6倍) → 14着

【コメント】
メイショウライナー勝利!ナイスです武豊騎手!!
キタサンコトブキは新馬戦から人気あったのに勝ちきれない…
今後に期待!

【勝率】
1勝/6レース (0.167)

 

どんびき!~曇天大学軽音楽部弾き語り部門~⑨

第9話「お約束の過去話(後編)」

居酒屋の隅の二人掛けボックス席を陣取って、俺――杉田三郎はフライドポテトをつまみにビールを飲んでいる。このフライドポテトを食べ終えたら、さりげなく持ち込んだ堅あげポテトをつまむとしよう。人目につかない席を陣取ったからバレ難いだろうし、バレたとしてもまあ顔見知りの店主がやっている居酒屋だから、大事にはならないだろう。

普段はこんなところで一人酒を飲む習慣などない。
ここに座っているのは、先日のギター教室ライブから胸の中で渦巻いている不可解な高揚感を鎮めるためだ。

それがおそらく俺たちの昔話――桐原加奈に起因しているのは薄々感じている。

その事について、俺たち4人がよく来ていたこの居酒屋で思い出してみようと思った。
酒の力と、居酒屋の雰囲気を借りて、今まで考えまいとしてきた事に終止符を打とうと思った。

心の中に沈んでいた何かが、この前のライブを機に色を変えたような予感がある。
その色を確かめたい欲求と、それを直視することに対しての少しの不安が俺を高揚させているようだった。

そう、あれは「弾き語り部門」が本格的に活動を開始した1年生の頃の夏。
物置としてしか使われていなかった卓球部の部室を、涼子の伝手で弾き語り部門の部室と兼用にしてもらってから、俺たちはよくそこに集まってギターの練習をした。

バイト代を叩いて買ったマーチンのアコギをまるで大砲のように抱えながら爪弾く、子供みたいに小さく、しかし目だけはぎらぎと輝いている女。

加奈は小柄で痩せっぽち、さらに短い髪とユニセックスに服装が相まって、傍から見ればやけに可愛い男友達か弟みたいに見えていたかもしれない。行動もどこか男勝りなのだが、容姿に見合わない不自然な男らしさが時に滑稽で、俺たちの間ではしばし笑いの種になった。

最初は変な女だと思った。

そんな加奈に対する感情も「弾き語り部門」の活動が本格化した頃にはどこか別のものに変わっていたような気がする。

俺はギターの技術で加奈に負けたくなかった。
ほぼ同じ時期に同じ環境でギターを始めたから当然ライバル視するものなのかね、と考えていたが、どうやら若干違うニュアンスである事に気付いた。

加奈に負けたくないというよりは、常に加奈の前を歩いていたいというか。

俺は加奈から尊敬されたかったのかもしれないし、褒められたかったのかもしれない。ギターという楽器にのめり込んでいく加奈から「杉田君はすごいね」と言ってもらいたかったのかもしれない。

要するにあれだ。

多分、俺は加奈に惚れていた。

その気持ちに気付いてしまってから、俺は今までとは別の感情を持って弾き語り部門の面々を見る事になっていた。
部室であるいはギター教室で、常に加奈の視線を受けているのは当然のことだがごっちんだ。そんなごっちんに対して俺は少しばかりの「嫉妬」みたいな感情を持ち始めていたと思う。
加奈の前を歩き尊敬されるのはごっちんだった。
俺の夢見るポイジションに立ち、颯爽と歩いているのはごっちんだった。

そして加奈はそんなごっちんに憧れていた。
多分、ギターの師匠としてとはまた違った感情を持っていたのだろう。
自分がそんな感情に焦がれて初めて、相手の感情の機微を感じ取れるようになった。

そんな二人のやり取りを目にする事を、俺は少しばかり苦痛に感じていた。

やがて季節は秋になり学祭の話題もちらほらと出始める。
吹奏楽とか合唱だとかそういう「ちゃんとした」音楽とは違い大会なんかが存在しない軽音楽分野にとって、学祭というのは最大ステージである場合が多い。
だから加奈が軽音楽部部長から「弾き語り部門としての発表枠」をゲットしてきた時、大きな目標を目の前にぶら下げられた俺たちは当然興奮したし、富士山を全力で駆け上るみたいなモチベーションの高まりを感じた。

しかし、俺の中に張り付いた嫌な感情は消えなかった。
不気味な蛾の繭にも似たその感情は、茶色と赤の入り混じった大きな羽を広げる時を待っているようだった。

加奈は一生懸命ギターの練習に打ち込む。

俺が学食で堅あげポテトをかじっている時も、ごっちんと二人でギターを弾いている。

ごっちんと二人で。

「学祭、絶対成功させようね」それが加奈の口癖だったし、それに見合う努力も行っていた。

それに比べて俺は、どんどん大きくなる蛹によってギターに対するモチベーションが押し潰されていくのを感じていた。
少しずつ弾き語り部門へ赴く足が重くなっていく。

学祭まであと2週間を切った頃――ついに醜い蛾が羽を広げた。

その日俺は学食で堅あげポテトを食べたあと、二人に少しばかり遅れて部室のドアを開けた。
いつものように二人はギターの練習をしている。
どこか二人だけの空間が作られているような気がして、俺は苛立ちを募らせた。

わからない箇所があったのだろう、加奈はごっちんの弦を抑える左手に右手を伸ばす「今のどの弦を押さえてたの?」加奈の細い指がごっちんの筋張った指に触れる。

自分が意図せず相手の指に触れたことに気付き、加奈は赤くなってごっちんの横顔を見る。

その目にほんの少しだけ「女の子」としての加奈が映り込んでいた。

それは今まで、誰にも見せたことのない姿だった。

それを見た瞬間、俺の中で成長を続けていた繭の背がびりびりと引きちぎられ、巨大な薄黒い怪物のような蛾が羽ばたいた。

「おまえらさ――」なんであんな言葉を口走ったんだろう。
「てゆうか加奈、お前さ――」その言葉は加奈に向けられるべきものではないはずだ。
「いちゃつくんならよそでやってくんない? そういう目的でギター弾いてほしくねーんだよ――」だが俺の言葉は操られたかのように止まらない。

「お前、ギターを弾く資格ねぇよ」

言って、その直後に後悔した。
でもその辛辣な言葉を撤回するような勇気もなく、俺は足早に部室を立ち去った。

それ以来、弾き語り部門の部室には顔を出さなかった。
顔を出せるわけがなかった。

学祭の最終日、置き忘れてきたギターを回収するため部室に足を運んだ俺は、部屋の片隅に座り込んでギターを磨いているごっちんと鉢合わせした。
なんとも気まずい空気が流れるが、無視して用件だけ済ませて出ていくのもはばかられた。

「学祭、どうだったんだ?」何の気なしにそう尋ねる。

「やらなかった」ギターを磨きながらごっちんは応える。

「なんでよ」

「桐原が、三人でやらなきゃ意味がないって辞退した」無表情でそう応えるごっちんがどんな気持ちなのかはよくわからない。しかし無表情で無愛想だが、誰よりも俺たちの事を考えてくれているのはわかる。

「そうか、悪かったな」俺はそれ以外に応えようが無かった「そういや、加奈は?」

ごっちんは無言で部屋の隅を指さす。
そこには加奈のギターが立て掛けられていた。
ごっちんの意図することが分からないままギターに近付くと、ピックガードに付箋紙が貼られていた。

『このギターは杉田くんに譲ります。かわいがってくださいね。弾き語り部門よ永遠なれ。桐原加奈』

「家庭の事情でな」ごっちんが言う「大学を辞めなければならなかったらしい。学祭まではと親に無理を言っていたらしいが――」その先をごっちんは言わなかった。

しかし、その先は俺でもわかった。

加奈は大学を辞めなければならなかったが、最後の思い出に学祭で演奏したかったのだろう。
だからあれだけ熱心に練習に励んでいた。
しかし俺のせいで三人での演奏は叶わず、そのほんの小さな願いすらかなえられないまま加奈は大学を去った。

この場にごっちんがいてくれてよかった。

もしごっちんがいなかったら、俺は最低最悪の自分の頭をぼこぼこに壁に叩きつけていたかもしれない。

『ギターを弾く資格がない』

それは俺に対しての言葉だ。

自分の感情に振り回され、本当に大事なものに最後まで気付けなかった俺への言葉だ。

――そこまで回想するのにビール5杯と堅あげポテト3袋を消費した。

あれから俺は少しばかり他人に対して臆病になった。
加奈を介してつながっていた涼子とは疎遠になり、唯一腐れ縁みたいに傍にいたごっちんと二人で、なんとなくの日々を過ごしていた。
ギターを弾くのは気が引けた。
たまに弾いてみようと思うのだが『ギターを弾く資格がない』その自分の言葉が頭を掠めて長く弾く気にはならなかった。
弾こうとすると弦が切れたりした日には「加奈が俺を思い出してキレてんのかな?」とか思ったりもした。

しかし、この前のライブで変わった気がする。

『ギターを弾くのに資格なんかいらない』

ごっちんがそう言ってくれたことで、今までお互いに触れないでいた事柄に終止符が打たれた気がした。
それは加奈が言いたかった言葉でもあるんじゃないかなと思う。
そして今の俺は、その言葉に素直に頷くことが出来る。

ギターを弾くのが楽しい。
めちゃくちゃ楽しい。
そんな気持ちがあれば、ギターは弾き手を拒まない。

なんか飲み過ぎた気がする。
そろそろ引き上げようか。

俺は立ち上がり、会計を済ませるためレジへと向かう。
そこでカウンター席に座っている知った顔に気付いた。

「あれ、涼子じゃん」
「あ、え?」日本酒を片手に頬杖をついていた涼子は驚いた容姿でこちらを見る「あれ、なんでここにいるの? あ、これは違うの、ちょっと友達におすすめされたから味見してみただけで――」空になった徳利を隠そうとする。
「ふーん、なんか奇遇だな。よく来んの?」
「ううん、一人でははじめてはじめて」

昔の事を思い出すために入った居酒屋で、昔つるんでいた4人の一人に出会う。

そんな偶然がおかしくて、なにやら神様らしきものがそうさせたような気がして、俺は大声で笑いだしたいような気持になった。

「よし、まだ飲もう。涼子となりいいよな?」と一応聞くが返事は待たず勝手に座る「俺が奢ってやるよ。バイト代が入ったばかりなんだ、ありがたく思え」
「え、あうん」涼子の顔が赤い。どれだけ酒を飲んだのやら。
「お前、顔真っ赤なのな。どんだけ日本酒をがぶ飲みしたんだよ」
涼子は無言で俺の顔を見る。なんか目が座っている。
そしてあからさまなため息をつくと――

「ほんとさ、杉田くんって鈍感だよね」

よくわからないことを言い出したが、今の俺は気分がいいので気にしない。



プロフィール

幕田卓馬

Author:幕田卓馬
糖、脂質、プリン体、塩分などに気を配らないといけない歳になりました…若い頃の不摂生が原因でしょうか。まだ三十路、されど三十路!
そんな男が日々の合間に小説を書いています。

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